<金口木舌>40年前の校則 - 琉球新報(2021年7月1日)

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自分が通っていた高校がいかなる校則を定めているのか知らなかった。読んだこともなかった。正直、わが身には関係ないと勝手に決め込んでいた。へそが曲がっていたらしい

▼たまたま手元に40年前の生徒手帳が残っていた。校則を読むと「生徒心得」の項目に「まじめな人生態度を身に付ける」とある。こういう生徒ではなかった
▼「共通語に習熟し、きびきびした動作の習慣化につとめる」という文言には驚いた。共通語励行の残滓(ざんし)を見る。仲間や教師が放つ「ちばりよー」や「でぃきらんぬー」という言葉のつぶてを背に受け、のっそり歩んできた。結局、共通語は習熟しなかった
▼先日、県立高校が掲げている校則の概要を本紙が報じた。細かい規則を無視できない生徒はきっと窮屈な思いをしていよう。生徒の自主性を狭めるような校則は見直してはどうか
▼古い生徒手帳に載った校則も生徒の行動を縛っている。半面、クラスの活発な議論を促す項目もある。生徒の自治に期待しているようだ。でぃきやーではなかったかつての生徒は40年遅れで気付く。母校の校訓に「自主」の二文字があった
▼高校生の皆さんに呼び掛けたい。自分が通う高校の校則を一読してはどうだろう。自分たちの高校生活にとってふさわしいか議論してもよい。これも自主性の発揮である。へそ曲がりだった元高校生の提案だ。