<金口木舌>変わらない心 - 琉球新報(2021年6月22日)

https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1342121.html

ファクスを送ると電子メールで文面が届く「D―FAX」というサービスがある。出先で記事内容の確認に使う記者もいた。システムの老朽化で今秋、サービスを終えるという。古参はいまだ使うこともあり突然の連絡に驚いた

霞が関ではファクス利用が原則廃止となる。新型コロナウイルスの影響もあり、テレワークを推進するためにと河野太郎行政改革担当相が音頭を取った
感染症は鎮魂の季節にも影響し、会員制交流サイト(SNS)を使った新しい祈りの形が広がる。白梅之塔慰霊祭の継続を目的に活動する若梅会は寄せられたメッセージに花を添え、塔に足を運ぶことを代行するプロジェクトを始めた
▼入館者が激減したひめゆり平和祈念資料館。ツイッターを通じて窮状が拡散され、一気に支援の輪が広がった。寄付金とともに応援メッセージも寄せられた。苦しい状況にある職員や元学徒はどれだけ励まされたことだろう
▼「世界平和を発信する場を二度と沈めたくない」と訴えたのは対馬丸記念館の高良政勝館長。本紙論壇で運営難をつづると県内外から寄付が集まった。高良館長は「関心の高さに触れた」と心動かされたという
▼コロナ禍によって葬儀を含めて鎮魂の在り方は様変わりした。技術が発達しても手法が新しくなっても、変わらないのは悼む心。沖縄が祈りに包まれる一日を迎える。