【政界地獄耳】平井デジタル相「完全に干す」どう喝発言は引責もの - 日刊スポーツ(2021年6月12日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202106120000123.html

★首相・菅義偉がサミットに出かけている間に感じの悪いニュースがいくつも飛び込んできた。本人は「げきを飛ばしたつもり。行き過ぎた表現があったかもしれない」と優しい言い方だが、朝日新聞が出した音声データには「NECには(五輪後も)死んでも発注しない」「今回の五輪でぐちぐち言ったら完全に干す」「どこか象徴的に干すところをつくらないとなめられる」「脅しておいた方がいい」とどう喝発言が続いた。声の主は電通出身の自民党IT問題の第一人者・デジタル改革相・平井卓也だ。

★いったい何の話かというと東京五輪パラリンピック用のアプリ(オリパラアプリ)を73億円でNECが落札したが海外客が来ないことになり機能を圧縮。38億円に予算も縮減された。その減額交渉の過程が4月の内閣官房IT総合戦略室のオンライン会議で語られた冒頭の平井発言という。新たにできるデジタル庁は人材の採用、さまざまなIT機器やシステムなどゼロから入札、受注が進む。だがデジタル化の裏であまりにアナログな、そして公正さが失われるやりとりが“仲間うち”で繰り広げられていることに極めていかがわしさを感じる。言葉の問題ではなく国民との信頼の問題だ。引責を促したい。

★そして東芝が10日に発表した去年7月に開催された定時株主総会が「公正に運営されなかった」と主張する株主が選任した弁護士によって構成された第三者委員会による報告書によれば、東芝経営陣と経産省が組んでいた。本来は東芝を監督する立場にある情報産業課(情報課)。一方、改正外為法の審査を担当するのは安全保障貿易審査課(審査課)。いずれも情報のやりとりが頻繁に行われ国家公務員の守秘義務違反の指摘を受けている。また官房長官当時の菅義偉との関係だ。官邸を「丘の上」という隠語を使い頻繁にやりとりしていた。今後の推移を待ちたいが、ここは民主主義国家か?(K)※敬称略