【政界地獄耳】2年ぶり党首討論 不要論でなく“不毛”論はいかが - 日刊スポーツ(2021年6月8日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202106080000081.html

★9日、19年6月以来2年ぶりに党首討論が開かれる。菅政権で初めてとなる。党首討論の導入は00年2月。政治改革で政府委員の廃止などが決まり、もっとも今では政府参考人という名でこちらは形骸化したが、同時に政治家同士の議論を活発にするために党首討論は導入された。過去には首相が逃げ回り開かなかった時期もあるが、与野党の党首が国民の関心事について議論するにはトータル40分という時間、議論がかみ合わないままでも修正ができないなど課題も多く、予算委員会の延長になりかねないという欠点もある。

★本来は国家の大局的議論が行われるべきだが、時の政局や関心事について、野党党首が首相に問う手法は議論がかみ合わなければつまらないものになる。そんなことから最近は党首討論不要論が政界の中から聞こえる。過去の討論の後の感想を政治家たちは「あれは討論ではなく演説というのではないか。党首討論はもともとイギリスのような2大政党を想定してスタートしたものであり、名前が変わる政党がいっぱいある今、在り方を考えなければならない」(副総理兼財務相麻生太郎)、「党首討論が歴史的役割を終えたとは思っていないが、国家の基本政策をあんなに短い時間で議論できるはずがなく、回数を増やすなどの改善や、みんなが見られる時間に開催するなどの工夫も必要」(元幹事長・石破茂)。

★確かにこの20年間で政治は議論よりもネットのSNSを使った発信手法に代わってきた。党首が向き合い議論を戦わせるなどという手法が国民の興味をそそらないということなのかもしれないが、政治家の劣化も一因ではないか。不要論ではなく、討論のレベルに達しない政治家同士のやりとりが続いたことが遠因にある。党首討論に耐える党首がいないという問題をまず議論したらいかがか。(K)※敬称略