<金口木舌>笑い合い、支え合い - 琉球新報(2021年6月3日)

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「銭(じん)とや笑らん(わらあらん)、子(くゎ)とど笑りる(わらありる)」(「沖縄ことわざ全集」仲井真元楷著)ということわざがある。いくらお金があっても、お金と語り合うことはできないが、子どもとなら笑い合える。子にまさる宝はないという意味

▼現実は、家計が苦しいと子どもと笑い合うことは難しい。県が実施した未就学児実態調査から、低所得層ほどストレスを抱え、抑うつ傾向が高いことが分かった。ことわざ通りにいかないのが現状だ
▼日本復帰前、今より生活は厳しかった。貧しい中でも子だくさんの世帯も多かった。当時は地域や親、きょうだいみんなで子育てするゆいまーる(助け合い)があった
▼近年は親やきょうだいも食べるのに精いっぱいで、支え合える環境にない人もいる。特にこの1年はコロナの影響で収入減となった人も多く、低所得層ほど家計と心身に大きな影響を受けている
▼魚(お金)も大事だが、魚の釣り方を学ぶことはより重要だ。シングルマザーを対象に、ウェブの研修を開き、就職につなげる取り組みが4月から始まった
▼「MOM FoR STAR」と名付け、IT企業「レキサス」(うるま市)と「フォーデジット」(東京)、当事者団体のしんぐるまざあず・ふぉーらむ沖縄の3者が組む。親の笑顔は、子どもの笑顔につながる。「子とど笑りる」になるために、これまでにない企業の支援は頼もしい。