【政界地獄耳】五輪はいま政局の中心 小池百合子の次の一手は - 日刊スポーツ(2021年5月19日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202105190000155.html

★ワクチン接種もままならない昨今、政局の中心に据えられたオリンピック(五輪)中止問題。各社の世論調査でも6割以上が中止を求めている。それでも大会関係者は「無観客でも、参加国が減ったとしてもそれでもやるべき」との姿勢を崩していない。関係者の努力、スポンサー企業への忖度(そんたく)、投資した税金の規模。組織委員会に関わった人ならばなんとかこのビッグプロジェクトを実現したいと考えることも理解できる。だが、弁護士・宇都宮健児が言うようにコロナ禍の五輪では「フェアな大会にならない」「命か五輪か」といった究極の命題を突きつけられれば返答に窮することとなる。

★世間では都知事小池百合子が自ら「五輪中止」といったあっと驚くことを言い出すのではないかとの臆測が流れる。開催都市の知事が決断すればIOCも受け入れるのではないかと。サプライズを使って求心力を保ってきた小池も、誰もが「中止というのではないか」と待たれると期待通りのことは言いたくなくなるものだろうか。小池の腹の内を関係者は「五輪推進関係者と打ち合わせをしていると推進に気持ちが傾くが、医療関係者と会議をすると厳しいかもしれないと日々揺れ動いている」という。確かにその通りだろう。

★だが、小池には6月25日告示7月4日投開票の都議会議員選挙がある。五輪を成功させて辞任、五輪の残務処理をせずに秋の衆院選に出馬するという計画ではないかともささやかれている。それを自らの発表で中止にできるのかとの見方も強い。14日の定例会見では「なんか、あの……政局がらみで語られるのは、とても私にとりまして、いかがかと思いますね」とこれらの臆測と五輪を絡めるなと苦言を呈したが、今、五輪開催か否かは政局の中心だ。「安心安全な大会に向けて準備を進めたい」という言葉がいつ消えるか、国民も政界も固唾(かたず)をのんで小池の次の一手を待つ。(K)※敬称略