【政界地獄耳】「上級国民」の見下すような物腰 - 日刊スポーツ(2021年5月14日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202105140000095.html

★我が国のコロナ禍の対策が後手後手でうまくいかない理由の本質はどこにあるのか。最近の要人の発言や行動から垣間見えた気がした。1つはワクチン太郎ことワクチン相・河野太郎の発言。12日のテレビでワクチンの高齢者接種予約が大混乱していることについて「効率性より住民の平等性を重んじる自治体が多かった。これは完全に僕の失敗だ」と謝罪した。おかしな話だ。行革相はその対策のため任命されたはずだ。ところが最初にはんこ廃止などとぶち上げ、すべての行政機関を困惑させた。縦割り110番は一体どうなったのか。コロナ禍での新しい仕組みを構築するのが大臣の仕事ではなかったか。コロナ禍対策の失敗は謝罪で済むものなのか。彼がポスト菅の筆頭であることに驚く。

★先月20日日本医師会会長・中川俊男が東京都に「まん延防止等重点措置」が発令される中、都内のホテルで行われた自身が後援会会長を務める自民党参院議員・自見英子政治資金パーティーに出席していたことが発覚。国民に強く自粛を求めながらも「緩みということは全くございません」と悪びれず、「会長職を退くつもりは全くない。これまで以上に責務を果たす」とし、悪かったのは「タイミング」と開き直った。中川は昨年末、政治家の会食などが相次いだ時には「範を示してもらいたい」と厳しく発言していただけにお粗末の限りだ。

★また内閣官房参与高橋洋一の「日本はこの程度の『さざ波』。これで五輪中止とかいうと笑笑」とのツイートやその後の一連のツイート、未遂に終わったものの「スギ薬局」の創業者でスギホールディングス会長・杉浦広一と妻で相談役・昭子が、ワクチン接種の予約枠を優先的に確保していたことが発覚するなど、いずれも上級国民が一般国民に対して見下すような物腰であることがうかがわれる。彼らが範を示し謙虚な態度で臨まない限り国民はついていかれないのではないか。(K)※敬称略