【政界地獄耳】国内死者1万人、政府の場当たり的対応は人災だ - 日刊スポーツ(2021年4月29日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202104290000082.html

★新型コロナによる国内での死者が1万人を超えた。世界規模で見れば少ないかもしれないが、この1年足らずで1万人も亡くなられた方がいるのは残念でならない。メディアは感染者数ばかりにこだわるが、無症状や回復される方も多いだけに、この1万人という数を軽んじてはならない。よくインフルエンザの死者と比較される向きがあるが、インフルエンザで重症になっても病院にお見舞いにもいかれるし、亡くなった場合も葬式も出せるが、コロナではいずれもかなわない。それぞれの人生や家族がどんな思いかと考えると政府の場当たり的な対応は人災と言わざるを得ない。

★首相・菅義偉はワクチンさえ打てればと言い続けたが、そのワクチンの供給は世界の中でも遅いほうで、ワクチンが手に入ってからも国民にワクチン接種が進まないのは、市区町村が悪いのではなく、90%以上が国側の「人災」ではないか。自治体関係者が言う。「市区町村や医療現場に耳を傾けず、その原因を改善することなしに、頭ごなしに『ワクチン接種に自衛隊投入』と言っても、目くらましにしかならないのではないか」と問題を指摘する。

★ワクチン接種が進んでいない理由は何か。自治体関係者が続ける。「最大理由はV-SYS(ブイシス)という極めて使いにくいコンピューターシステムに厚労省はじめ政府が固執していること。最大の問題点は、ある接種会場でワクチンが余ったときに他の会場に持って行けない。これではシステムが大事なのか、接種が大事なのか、よくわからない対応になってしまう。単純にシステムが悪いのか、厚労省の『美学』でそうさせたのかはわからないが、ファイザーがそこまで『追跡』させているのか、まったく理由の説明もない。そしてそのシステム入力を、個別の接種会場で慣れない市区町村職員にさせている。これこそコンピューター会社に委託すべきものではないのか」と憤慨する。そして「ワクチン太郎が自由自在の振る舞いで事務方も市区町村も翻弄(ほんろう)されている」。間違いなく人災だ。(K)※敬称略