(政界地獄耳) 停波権限持つ総務相が「関わりない」理屈通るか - 日刊スポーツ(2021年4月12日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202104120000109.html

★許認可権を持つ役所は影響下にある業界団体や個々の会社に厳しい。場合によっては、えばっているともいえよう。極めて影響の大きい国交省鉄道局とJR東海のリニア建設や、総務省情報流通行政局とフジテレビジョン外資規制違反などの構図はそれにあたるだろう。外資規制は放送が世論に与える影響を考慮し、外国資本を一定程度に抑えるのが目的。議決権の外資比率が20%以上の事業者は認定を受けられず違反すれば総務相は認定を取り消さなければならないとされている。

★放送局やNTTなどからの接待が大臣から高級官僚まで常態化していた総務省で、本来なら東北新社は免許取り消しとなったのだからフジテレビも同様の処置が必要と考える国民も多いと思うが、総務相武田良太は「昭和56年の内閣法制局見解などにより、同社の認定放送持ち株会社としての認定について、外資規制違反の状態がその時点で存在しないのであれば、放送法上認定の取り消しを行うことができないと判断した」という理屈でフジテレビを放免とした。

★2016年2月、当時の総務相高市早苗は国会で放送法4条を順守しないことを理由に電波法174条および同76条を根拠にして電波の停止があり得ると発言。放送局をけん制、萎縮させた。停波は総務相の判断。大きな大臣権限だ。政界関係者は「武田大臣は法制局見解よりこの高市理論を利用したのではないか」という。高市は先の総務相時代にNTTからの接待を受けたことを文春に記事にされたが、「返金したから接待ではない」とした。また高市は自身のホームページで「大臣も副大臣も『通信事業の許認可に直接関わる』ことなどない。『最終決裁』をするのは、大臣や副大臣ではなく局長だ」とした。総務省の理屈は国民に理解されるのだろうか。(K)※敬称略