(政界地獄耳)「接待防止庁」の方が先だろう - 日刊スポーツ(2021年4月5日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202104050000091.html

★首相・菅義偉衆院選対策として打ち出した「子ども庁」設置が国民の期待というよりは別の方向に進み始めている。そもそもデジタル庁の次は子ども庁と縦割りの弊害打破が新しい役所を作ることならば苦労しない。ネットでは「その前に自分の長男の人格はどこにとか、子ども内閣の子ども閣僚の問題点を洗い出せとか、公務員接待防止庁、自民党夜の会食禁止庁を先に作れ」と揶揄(やゆ)される。子ども庁の考え方は決して悪いものではない。立憲民主党の議員が言う。「民主党政権時に子ども家庭庁の設置が議論されたが、自民党からは批判の嵐だった」。

★2日、自民党参院幹事長・世耕弘成は「子供の貧困や児童虐待などの問題が起こっている。その問題は複数の省庁にまたがる案件がほとんどで、組織を作って子供政策を一元化し、大切な子供たちを健全に育成し、子供を産みやすい、育てやすい環境を整えることは極めて重要だ」と言い出した。まさに省庁をまたがる政策など、霞が関には掃いて捨てるほどある。何をいまさらという思いが政界には蔓延(まんえん)している。以前の発言があだとなる場合に「ブーメラン」と自らの発言が首を絞めるといわれるが、最近の自民党はそれを恥ずかしいという呵責(かしゃく)さえ持ち合わせていないようだ。

自民党は今週にも党総裁直轄の子ども庁創設本部を立ち上げるという。本部長に党幹事長・二階俊博が就任するという。この選挙対策的戦略を逆手に取ったのだろう。立憲民主党代表・枝野幸男は「今の国会で議論すれば国会中に設立することも可能だ。本気ならば与野党協議をして欲しい」と選挙の目玉に据えようとする自民党を強くけん制した。ただ注意すべきは菅内閣の目玉政策、電話料金値下げやテレビ局の許認可など省益が変わる時や法律が変わる時に、業界と官僚、政治家の接待が頻繁になることもお忘れなく。やはり接待防止庁や会食禁止庁の方が先に必要か。(K)※敬称略