<南風>私の発達障害と依存症 - 琉球新報(2021年4月3日)

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弊社は依存症支援を主な目的として仲間とともに立ち上げた会社である。最近寄せられる相談で目立つのは、発達障害を抱えた人々の依存行動だ。特に20~30代の若い世代が多く、仕事はしていて体も健康。友人もいる。
一見問題がなさそうに見える彼らだが、実はギャンブルで作った借金を返済するために会社のお金を横領する、飲酒による度重なる無断欠勤で短い期間に転職を繰り返す、など依存行動が自身の生活を脅かし、徐々にエスカレートしていく傾向が見られる。
発達障害は衝動性や、脳内物質の関係でやる気や快感を得ることが難しいなど、さまざまな要素が絡みあって、依存しやすいことが指摘されている。さらにその特性ゆえに幼少期から失敗体験が多く、コンプレックスを持ちやすい。こうした生きづらさをギャンブルや酒が紛らわせてくれるのだ。
かくいう私も発達障害当事者である。TPOをわきまえた言動が分からない。その結果、コミュニケーションがうまくいかず相手を怒らせてしまう。一つのことを継続できない、不注意からのミスが多い。そのため自分は他者よりも劣っている存在だと思うようになっていた。
自分の努力だけではどうにもできない苦しさ、自己肯定感の低さや孤独感は依存症者と変わらなかった。私は偶然にも依存症にならなかっただけなのだ。しかしコミュニケーションスキルを学び、自分の生きづらさに共感してくれる仲間を得、発達障害に合った薬を内服するようになってからはむしろ自分の弱点だったこの特性は、当事者として寄り添える強みになった。
私もまた、ようやく居場所を得た一人である。孤独な依存症者が仲間を得て回復していくように、私も支え、支えられながら共に進みたい。

(上原拓未、レジリエンスラボ代表、精神保健福祉士