<金口木舌>好きな人が同性だったら - 琉球新報(2021年3月20日)

https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1289601.html

映画「チョコレートドーナツ」は、米国カリフォルニア州を舞台に男性同士のカップルがダウン症の少年を育てる物語。性的指向を理由に、2人は職場や近所の人から好奇の目で見られる

▼2人は母親から虐待された少年を引き取った。読み聞かせや宿題を教えたり伝統行事を一緒に楽しんだりと少年に深い愛情を注ぐ。異性カップルの家庭とは何が違うのか。映画から問い掛けられているような気がした
▼同じような感覚を覚えた場面があった。性的少数者が生きやすい社会づくりを目指し例年、開催されている「ピンクドット沖縄」。2016年、男性カップルが聴衆の前で人前結婚式を挙げた
▼日本の民法同性婚を認めていない。婚姻届は受理されないが、多くの人に祝福され晴れやかな表情を見せた。「自分たちのような生き方を発信していきたい」。男性2人の言葉が印象に残った
▼先日、民法の規定に一石を投じるような判決があった。札幌地裁が同性婚を認めない民法などの規定は「法の下の平等に反する」と初の違憲判断を下した。今後の同性婚をめぐる議論に影響しそうだ
▼米カリフォルニア州では既に同性婚が認められている。多様な結婚の形が公認されたら、差別や偏見の解消につながる。好きになったのが同性という理由で苦しんでいる人たちがいる。普段の暮らしを幸せに送る権利は誰にでもある。

 


映画『チョコレートドーナツ』予告編