(政界地獄耳) 安倍-菅政権に一貫する「政治責任」 - 日刊スポーツ(2021年3月9日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202103090000078.html

★安倍政権と菅政権が一体化している根拠に「政治責任」に対する根本的な認識がある。政府はこの1年間、「瀬戸際の2週間」「我慢の4連休」「勝負の3週間」と国民にコロナ禍の厳しい生活を強いてきた。その一方、「会食したが食べていない」とうそぶく与党幹事長がいたり、子供でも分かりそうな「4人ならいいが、5人の会食はダメ」とルールを定めるも、政治家には治外法権や特権があるかのような説明をしてきた。接待を伴う夜の街を徘徊(はいかい)する議員が暴かれた時はさすがに申し開きできないとみえて離党させた。

★これをけじめだなどと説明している限り、国民の協力や理解は得られない。誰もが、次の選挙で帰ってきたら復党など「みそぎ」は終わったとするのではと予想する。政府は都合のいいことは民間並みに、都合の悪いことは民間とは比較できないと、詭弁(きべん)を弄(ろう)してきたが、同様の事案でサラリーマンが職場復帰することは難しいだろう。それどころか官僚を接待漬けにして業者に都合よく目こぼしさせ、その後の天下りまでを念頭に阿吽(あうん)の呼吸で物事を進める業者と官僚の癒着に「令和の時代にそんなことがまかり通るのか」と感じた人も多いはずだ。

★それを進めてきたのは前首相・安倍晋三の家族や友達を守るためならば文書の改ざんも平気でやる体質と、がんばったら昇給させてやるというやり方。不祥事が発覚すれば「責任は私にある」というものの頭ひとつ下げない。首相・菅義偉は長男のしでかした事態を「別人格」といい、ついには「政治責任という定義はないんじゃないでしょうか」と言い放つ。官房長官加藤勝信は「虚偽答弁については必ずしも固定した定義は国会の中においてあるとは承知していない」と、とても面白いことを言い出した。最新の世論調査では自民党支持率の回復が顕著だ。国民は民主主義に関心がないか、自分がいい思いができればと思う人たちばかりではないと願いたい。(K)※敬称略