<金口木舌>男ばかりでいいの? - 琉球新報(2021年2月24日)

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「ゆでガエル理論」というのがある。カエルをいきなり熱湯に入れてしまうと驚いて逃げてしまうが、水温を徐々に上げて行くと、逃げるタイミングを失い死んでしまう。環境の変化に敏感になろうという戒めで、しばしば使われる
▼この組織もゆでガエル状態だったのだろう。東京五輪パラリンピック組織委員会と、会長を辞任した森喜朗氏。蔑視発言もさることながら、トップの失言に気付きながらも、幹部は謝罪で済ませようと保身に走った
▼男性中心主義の社会の在り方を問い直すきっかけにもなった。多くの人が発言を「人ごとではない」と、改めて背景にある本質を見つめている
▼県内の市町村役場の管理職や市町村議員の女性の割合が、全国平均を下回り10%台と低いことが本紙報道で分かった。「議員や管理職は男性」「補助的な業務は女性」という現状に、多くの人が慣れて違和感を感じてこなかったことの表れだろう
▼「政策の影響を受けるのは女性も男性も同じ。何かを決める場所が男ばかりであってはいけない」と指摘するのは、旧労働省のキャリア官僚だった赤松良子さん。男女雇用機会均等法の成立に尽力した
▼男女、障がい者、人種などさまざまな背景がある人たちがいる組織は変化に強い。多様性が求められる社会。自戒を込めメディアも含め、ゆでガエル状態のままではいられない。