(政界地獄耳) 男性社会が阻んだ女性のチャンス - 日刊スポーツ(2021年2月20日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202102200000124.html

★政界や財界の中心人物が国民の常識的な価値観とこれほどまでにズレているかが分かった1週間だった。元首相で前東京五輪組織委会長・森喜朗の発言を擁護した人物は数あれど、そのほとんどが今の社会を理解しない、自分の昭和の経験則だけで発言していることがいかに多いか。考え方のアップグレードができていないとしか言いようがない。16日、経済同友会代表幹事・桜田謙悟は森擁護をしたわけではないが、企業で女性の役員登用が進んでいない理由を問われ「女性側にも原因がないことはない」とし、「チャンスを積極的に取りにいこうとする女性がまだそれほど多くないのではないか」とした。その一方「多様性を重視しない企業は存続すら危うい」と警鐘を鳴らした。

★女性はチャンスを取りにいかないのではなく、それを男性社会がどれほど阻んできたかに思いをはせるべきだ。その反省に立たずに議論を進めることの無理解こそが日本社会が抱える構造的問題だろう。18日、島根県知事・丸山達也が新型コロナウイルス感染拡大を封じ込めるための政府や東京都の対応に不満があるとして県内での聖火リレー中止を検討すると表明すると、島根選出の自民党元総務会長・竹下亘は「知事の発言は不用意な発言だ。注意しようと思っている。たぶん(全国)知事会の中でも支持する人はいない。世の中の空気と違うぞという話を(丸山に)しないといけない」と話した。丸山は保守分裂となった19年知事選で竹下らが推す自民党推薦候補を破り知事に就任している。

★加えて竹下は五輪組織委会長になった橋本聖子を応援するつもりで「スケート界で男みたいな性格なので、ハグなんて当たり前だ。セクハラと言うのはかわいそうだ」などと発言。その後、竹下事務所は報道各社に「正確には『男勝り』と言いたかった」と発言の「訂正」を申し入れた。この発言のいずれも問題視されている。さすがに元女性活躍相の官房長官加藤勝信は「男女共同参画という観点から、いろんな疑問が出されている」と懸念を表明した。ズレてるなあ。(K)※敬称略