(政界地獄耳) 本当に適任なのか - 日刊スポーツ(2021年2月12日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202102120000095.html

★元首相で東京五輪組織委員会会長・森喜朗の進退が政局の中心になってきた。既に11日には森の辞意が報道されているが一連の森発言当時、週刊誌が首相・菅義偉の長男による総務省幹部への接待問題が国会のテーマとして大きくなりかけてきた時期と重なり、自民党は世論を森問題に向ける必要から森発言で国会が空転しかねないとあおり、メディアは朝から晩まで、ことにテレビは監督官庁である総務省スキャンダルに触れたがらないという事情も相まり大騒ぎになった。

★その段階で森の進退にまで発展するとは官邸も思っていなかったろう。ただ、自民党幹事長・二階俊博の森擁護の発言が結局、世論に火をつけなおした格好になった。その意味では官邸や自民党執行部に森問題の対応ができる人材はおらず、海外を含む世論任せで事態が進んだために森が追い込まれたが、誰も森を助けることができなかった。

★さて、後任の組織委員会会長には東京オリンピックパラリンピック組織委員会評議員会議長・川淵三郎が就任する見通しという。森と同年配の川淵は適任なのか。昨年2月13日、来日していた国際オリンピック委員会IOC)のジョン・コーツ調整委員長に川淵は新型コロナウイルスについて「いろいろな情報を聞く限り、インフルエンザより強いウイルスではないと聞いている。ウイルスは湿気や暑さに弱いと聞いていて、日本には、梅雨というウイルスをやっつける最高の季節がある。日本の知識や経験で必ず克服できると心から感じている」と答えている。政界関係者も「五輪は進めるにしても引くにしても相当な手間がかかる。川淵が適任との判断はわかるが、ヘイト発言も散見される。本当に森の後任にふさわしいかは甚だ疑問でもある」。残務処理も含めあと半年、余人をもって代えがたい森の代わりは国民の期待に応えられるか。(K)※敬称略