(政界地獄耳) デジタル庁9・1発足は事実上不可能 - 日刊スポーツ(2021年2月11日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202102110000046.html

★9日、政府はデジタル庁の設置法案を含むデジタル改革関連6法案を閣議決定した。首相・菅義偉の就任の目玉公約はハンコの廃止だけではない。その延長にデジタル庁発足がある。首相をトップに9月1日に発足することに決まった。その時首相の座に誰がいるかはわからないがデジタル庁が本格的に動き始めることになる。ところが霞が関では発足は事実上不可能といわれている。9月には設計図とは全く別の代物ができているだろうと。

★行政手続きのオンライン化、地方自治体のシステム統一・標準化を加速させ、行政サービス向上や経済成長などを目的に世界的にも後れを取るデジタル国家を目指す。霞が関の高級官僚が言う。「すべての省のシステムはそれぞれ独自のもの。国が統一できていないのに、こちらもそれぞれ独自のシステムを持つ自治体に25年度までの業務システムの仕様統一を義務付けるだって。目標は結構だが、どの役所もパソコンとクラウドを使いこなせるのは課長クラスまで。局長クラスはタブレットすら持ちたがらない。ハードだけ組み替えても使う側が追い付かない」。

★別の官僚は「デジタル相・平井卓也はデジタルオタク。彼があてにするのはマイナンバーカードの仕組みを構築したチーム。マイナンバーの普及は絶望的で、総務省は去年1年間のマイナンバーカードの交付枚数は約1185万枚、前の年の4倍になったというが、10万円の給付金の支給が早まるとか、ポイント還元制度『マイナポイント』などで釣って増やしただけ。机上のプランは完璧でも今年の9月に何ができているかといえば疑問」と厳しい。霞が関もバラバラ、自治体もバラバラだが、大丈夫なのか。平井は新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」アンドロイド版が運用3カ月で機能しなくなったことについて「はっきり言ってあまり良くできた出来のいいアプリではなかった。そもそも発注自体にも問題があったと言わざるを得ない」というが、デジタル庁も半年後にそう言われないように。(K)※敬称略