(政界地獄耳) 施政方針「国民への負担」は何を指すか - 日刊スポーツ(2021年1月19日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202101190000067.html

通常国会が18日、召集された。首相・菅義偉は昨年10月26日に召集された臨時国会で初めての所信表明演説を行ったが具体策が乏しく、首相周辺は本格的なものは施政方針で示すとしていたがさてどうだったか。首相は施政方針演説で目指す社会像について「私が一貫して追い求めてきたものは国民の皆さんの『安心』そして『希望』です」を強調。「1人ひとりが力を最大限発揮し、互いに支え、助け合える『安心』と『希望』に満ちた社会を実現」としたが所信表明で使った「『自助・共助・公助』そして『絆』だ」の言いかえでしかなかった。

★「我が国でも深刻な状況にある新型コロナウイルス感染症を1日も早く収束」。「夏の東京オリンピックパラリンピックは人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証しとして、また東日本大震災からの復興を世界に発信する機会としたい」も所信表明でも語っていて繰り返した。いくつか就任4カ月での経験を見せる場面もあったが、「何よりも仕事をしたい」としていた仕事の中身は昨今の世論調査などを見れば国民から評価されているとは言い難い。

★演説の末尾は所信表明では「雪深い秋田の農家に生まれ、地縁、血縁のない横浜で、まさにゼロからのスタートで政治の世界に飛び込んだ」とたたき上げと庶民性を訴えたが、今度は「かねてよりご指導いただいていた当時の梶山静六内閣官房長官」の名前を出してその経験を強調。ただ、気になるのは梶山の薫陶を受けたという表現で梶山の言葉を引き、「国民に負担をお願いする政策も必要になる。その必要性を国民に説明し理解してもらわなければならない」とのくだりを引用した。これは何を指すのか。なぜそこを施政方針で使ったか。「国民への負担」とは何かの臆測を呼ぶのではないか。政府の失策と税金の大盤振る舞いの後にどんな負担を強いられるのか。気になるところだ。(K)※敬称略