(政界地獄耳) 辞職吉川元農相の補選は4・25 衆院選かぶせる? - 日刊スポーツ(2020年12月23日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202012230000065.html

★「鶏卵汚職事件」で鶏卵生産大手「アキタフーズ」からの現金受領疑惑が取りざたされ注目が集まっていた元農相・吉川貴盛が病気を理由に22日、議員辞職した。政界では「司法取引が成立したのではないか」の声が飛ぶ。同日、立憲民主党幹事長・福山哲郎は「体調不良のために辞職するということなので、1日も早い回復を願いたい。しかし金銭受領疑惑についてまったく説明がないまま辞職するというのは、いささか疑問に思わざるをえない。これでは国民は納得しないし、国民の前で説明を避けるために病気を理由にしていると疑われる可能性が高い」。18年、我が国にも司法取引が導入されたが、米国のドラマなどで見る「自分の罪を認める代わりに刑を軽くしてもらう」「背景を話すから助けてもらう」という使い方は認められていない。

★今回の鶏卵汚職では特捜部が「裏帳簿」を入手しているといわれ、農水族の多くが関与しているのではないかといわれていたが、農相時代に大臣室での金銭のやりとりがあったことまで明らかにされていた吉川の唐突な辞職は、逮捕しない代わりに辞職したと思われたのだろう。吉川の辞職で北海道2区の衆院補選は来年4月25日に決まった。

★実はこの補選日程が政界カレンダーに微妙な影を落とす。17年10月22日の衆院選挙は愛媛3区、青森4区、新潟5区で予定されていた補選にかぶせるように衆院選挙が行われた。「それを思い出す。22日の幹事長・二階俊博の会見では吉川に『体調のこととはいえ大変残念なことで手術の成功をお祈りしている』と意外にあっさりしていた。どこか鶏卵汚職に決着がついていたような落ち着き方だ。吉川は10日に辞任するまで、二階派事務総長だったんだぞ」(自民党ベテラン議員)。コロナ禍でどうなるかはわからないものの、4月25日は衆院選の1つの目安になりそうだ。(K)※敬称略