(筆洗) 米国で初めて女性、黒人、アジア系として、副大統領に就任する… - 東京新聞(2020年12月19日)

https://www.tokyo-np.co.jp/article/75274

米国で初めて女性、黒人、アジア系として、副大統領に就任するカマラ・ハリスさんが、以前、「大統領選の歌」に選んで話題になった曲がある。バンド「ファンカデリック」の「ワン・ネーション・アンダー・ア・グルーブ」である。「一つの乗り(グルーブ)の一つの国家…」。曲名と同じそんな意味の歌詞が、サビで繰り返される。
多種多様な歌い手や奏者が主役、脇役を務めながら、大きな乗りを生み出していく、黒人発祥のファンクミュージックの名曲でもある。人種、階層など多様な国家で、共通する乗りを取り戻せるか。次期大統領に課された大きな仕事であるなら、曲は新政権でも、引き続き「主題歌」になりそうだ。
混乱した大統領選は、先日行われた選挙人投票によって、バイデン氏の次期大統領就任が、確定したという。バイデン氏は「最も多様性に富んだものになる」と新政権について表明している。
ハリス氏にとどまらず、数多くの女性や非白人、性的少数者を閣僚などに置く人事を明らかにしてきた。先住民系初の閣僚になるという女性下院議員、ハーランド氏の登用も明らかにした。歴史的人事という。
トランプ大統領の米国では、人種などの違いが分断の火種になった。修復は簡単ではない。
違いはあっても、共通の乗りは失わない国家づくり。リズムに乗れるか否かを国際社会も注視するはずだ。

 


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