(政界地獄耳) 税金の使い方、荒くない? - 日刊スポーツ(2020年12月5日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202012050000126.html

★思い返せば議会の議論や知恵もなく、一部の業界を潤わせることが「経済を回す」と思い込んだ首相・菅義偉自民党幹事長・二階俊博の政治的公平感は「利権」という言葉の前では無力なのだろう。Go To トラベルやイートは、経済的カンフル剤にはなっても経済を回すだけの効果はない。4000万人が利用したのはコロナ禍の閉塞(へいそく)感と消費への欲求。そして解放感だろう。だが税の使い道としては極めていびつで、そこから漏れた人たちの疎外感も大きい。

★事業者側も利用者側も一部の恩恵をあげつらい国民の多くが楽しんでいる、満足しているかの自画自賛には閉口する。すると自民党は早速、お得意の公共事業を軸とした国土強靭(きょうじん)化計画をパワーアップ。5カ年計画15兆円の予算を首相が指示したという。少々税金の使い方が荒くないだろうか。これだけ突っ込めばこれくらいの利益が出るだろうというばくちのような税金の使い方で、数年後には増税やむなしの議論が始まるだろう。チェックもなしに使い続けていれば底をつくのは当然だ。

★今回のコロナ禍で政府は税制の手当てをほとんどしなかった。だが税の公平性で言うならば給付金やGo To キャンペーンなどは事務手続きや事務経費、確認作業などに莫大(ばくだい)な費用がかかる。税金の運用ならばその経費が削減でき、国民全体に税金の軽減という効果で不公平感も軽減できる。税金値下げがいちばん分かりやすく現実的だし、消費税率の軽減も1つの方法だろう。だが政府は野党の声に全く耳を傾けなかった。どこかで税金を手数料として抜く仕組みが欲しかったのかは知らないが、一部に恩恵があるだけの経済を回すなど意味がない。(K)※敬称略