(政界地獄耳)CNNジョーンズの涙の意味を知ろう - 日刊スポーツ(2020年11月10日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202011100000097.html

★日本の文化から言えば往生際が悪い、潔くないなどの形容詞がふさわしいと思える米ドナルド・トランプ大統領の振る舞いだが、CNNでニュースコメンテーターを務めるヴァン・ジョーンズは番組の中で涙を流した。その意味を世界中が知る必要があるのではないか。彼は09年にバラク・オバマ大統領のグリーンジョブ特別顧問を務めている。グリーンジョブとは国際労働機関(ILO)が提唱する環境への負荷を持続可能な水準まで低減させながら事業として採算がとれる仕事のことで、欧州グリーンニューディールやバイデン政権の脱炭素社会推進と合致する。この潮流に日本は追随せざるを得なくなるだろう。

★さてジョーンズはバイデン当選を喜ぶというよりトランプの終焉(しゅうえん)に対して「多くの人にとって良い1日」とし、トランプ時代に自分の子どもたちがどれほど恐怖を感じおびえてきたか、白人優越主義者や人種差別主義者が武装し、また罪のないアフリカ系アメリカ人やヒスパニックを脅したり、警官が無実の人を傷つけてきたこと、レイシズムファシズムがいかに全米を覆いつくしていたかに思いを募らせたのだ。

アメリカファーストという言葉の裏で人権無視や迫害、法の拡大解釈や超法規の乱用、乱暴な言葉や態度、暴力の常態化。たった4年で米国の秩序や常識、そして多くの人たちの自由が奪われた。しかしその傍若無人な行為の最中は害を被った人、ターゲットと感じた人しか恐怖を感じない。人々は当事者にならないと痛みを想像しない。転じて安倍・菅政治に慣れてしまった人たちは日本学術会議問題の怖さに気づかないことと同じだ。自民党右派の議員秘書にトランプの評価を問うと「戦争をしなかった大統領」と胸を張った。米国は分断という内戦を戦っていたのだ。(K)※敬称略

 Van Jones: For a lot of people it's a good day

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