(政界地獄耳) 政権に影響必至 2つの投票 - 日刊スポーツ(2020年10月31日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202010310000110.html

★国会では与野党の論戦がスタートしたものの、その議論が白熱しないのは2つの結果を政界全体が固唾(かたず)をのんで待っているからだ。1つは11月1日に行われる大阪都構想の賛否を問う住民投票。接戦と伝えられる。そして3日に行われる米大統領選だ。こちらは接戦のみならず、混乱が予想される。加えて郵便投票などの集計に手間取り結果が出るのは先の話になりかねない。とはいえこちらは日本からは何もできず、結果を待つのみだ。

★さて都構想だが本来は「大阪市を廃止し、特別区を設置することについての住民投票」。維新の会の説明に市民はどう納得しているのかわからないが、全国の政令指定都市は権限が多く、中堅都市は合併してでも政令指定都市になろうと努力している中、わざわざ政令指定都市を廃止したいという政策のようだ。日本中そんな政令指定都市をいらないという不思議さに首をかしげる向きも多いはずだ。まして東京23区に至っては、すべての区が独立して千代田市や港市となって“市”に入った財源を都に吸い上げられないように“市民”に使いたいと考えているので、都民から見たら大阪の動きは不思議でしょうがない。

★しかし、賛成多数となれば維新と同調した公明党は、近畿圏のみならず首都圏でも次期衆院選での勢力拡大は必至とみられる。その逆になった場合は維新への打撃は計り知れず、2度の住民投票で否決されるという失敗を繰り返したことの無駄が問われるだろう。また公明党も与党内でどう責任を取るのかが問われかねない。いずれも首相・菅義偉の強い応援団でもあり、政権への打撃に直結しかねない。選挙の時期、経済政策、日米外交、今すべての政策がこの2つの結果を待っている状態だ。(K)※敬称略