(政界地獄耳) 管理社会のしもべになるかを問うべき - 日刊スポーツ(2020年10月15日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202010150000049.html

マイナンバー推進派の人たちは10万円の特別給付金を素早く国民に配るためにはマイナンバーカードがあればもっと早くなるというが、今後も10万円やそれ以上の給付金を国民に配る計画でもあるのだろうか。「次」の計画などない。ところがデジタル化という言い方で、世界に取り残されないためになんでもデジタルの号令で国民はその気になっていく。

★携帯電話の値下げも年配者のスマホへの苦手意識を取り除くためだろうし、婚姻届などのはんこ廃止の大合唱もデジタル化のためというよりもマイナンバー推進のための国民の警戒心のハードルを下げるためのものだろう。はんこを廃止し、ペーパーレス化が進めば行革につながると思っているかもしれないが、デジタル化は単に、その管理をIT技術に任せるだけでなく、このメンテと運営費は今よりも格段に高くなるはずで、省エネでもスリム化でもない。今までみんなで手分けしていたものが少数の会社の管理にゆだねられ高額な支出を強いられるものになる。それを含めた議論はあるのだろうか。

★6日、デジタル相・平井卓也と行革相・河野太郎は教科書の原則デジタル化や規制緩和など教育分野のデジタル対応を加速するよう文科省に求めた。また平井は13日には三菱UFJ銀行頭取で全国銀行協会長・三毛兼承と会談し、マイナンバーと銀行口座のひも付けによって利便性が高まりコストがおさえられるとして協力を求めた。昔の社会党が1億総背番号として反対したが、これでは完全に政府管理下の生活が始まるだけだ。自民党は携帯電話の値下げを選挙の公約や争点にしたいだろうが、透明性とすべてをひも付けるリスクの説明もして、管理社会のしもべになるかどうかを問うべきではないか。(K)※敬称略