<金口木舌>罪問えるハードル高い性犯罪 - 琉球新報(2020年9月2日)

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「抵抗していないとあなたも悪いと責任を被害者側に負わせる考え方」。動画配信サイト「ユーチューブ」で刑法の性犯罪規定に突っ込みを入れるのは「せやろがいおじさん」こと榎森耕助さん。刑法では同意のない性行為であっても暴行脅迫が立証できなければ罪に問えない

▼抵抗すると報復を受けるかもしれない。怖くて身体が凍り付いた―。被害者からこういった声を聞く。現行の規定は実態とかけ離れている
▼刑法性犯罪は2017年に110年ぶりに改正された。依然として立件が難しいとの指摘があり、見直しの必要性を議論する法務省の検討会が始まっている。被害者支援団体は「暴行脅迫要件」の撤廃に加え、公訴時効の撤廃なども求めている
▼性暴力は「魂の殺人」と例えられる。二次被害に遭う人も多い。性暴力被害を公表したジャーナリストの伊藤詩織さんは、インターネット上で誹謗(ひぼう)中傷に苦しめられた
▼ウェブ上の侮蔑は、中傷ビラをまく行為に等しいと心したい。多くの被害が潜在化してしまうのは、落ち度をあげつらう考え方があるからだろう。社会の空気を変える必要がある
▼性暴力は「女性対男性という対立構造になりがち」と指摘するせやろがいおじさん。「そうじゃない、ほん
まは性暴力対、それを許さない人達にしないと。そのためには男性が声を上げることは大切」という言葉が胸に響く。