(政界地獄耳) 臨時代理なら退陣!? - 日刊スポーツ(2020年8月24日)

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★首相・安倍晋三の健康問題が政界ではくすぶり続けている。体調が芳しくないのならば一時静養に専念して万全にして戻ってきたらいいと思う国民は多いだろうし、ゆがんだ顔で力ない声のまま、「大丈夫、健康です」と言われるより、「しばらく休むがよろしく」と言ってもらった方がいいと思うのだが、生き馬の目を抜く政界では通用しないのだろうか。

★「しばらく休むから」という言葉には「静養後、復帰する」という意味が含まれる。1度その座を手放すと2度と帰って来られないのだろうか。絶えず陣頭指揮を執っていないと求心力は落ち、その手腕はさび付くのだろうか。病状が悪化すれば入院、すると副総理兼財務相麻生太郎が自動的に首相臨時代理となる。こちらは内閣法第9条に「内閣総理大臣に事故のあるとき、又は内閣総理大臣が欠けたときは、その予め指定する国務大臣が、臨時に内閣総理大臣の職務を行う」と規定されている。ただ、執務不可の定義もあいまいで、代理を置かない方針を続けるようだ。

★一方、麻生が臨時代理になったからと言って直ちに内閣改造もできない。「自民党総裁の座は安倍のまま。一時的、変則的に総理と(自民党)総裁が別になる総総分離になる。そうなると内閣はいじれても自民党の人事を動かす権限がなく内閣改造人事は現実的ではない」(自民党関係者)という。首相が職務に復帰するつもりなら臨時代理は置かないままの静養となるだろう。逆に臨時代理を置く場合には退陣に直結するということか。いずれにせよ、この健康不安を流すだけで難局を乗り切ろうというのには無理がある。野党が言うようにどこかでちゃんとした説明が必要になる。(K)※敬称略