(地獄耳) 安倍首相「1週間入院」のススメ断っていた - 日刊スポーツ(2020年8月19日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202008190000134.html

★この政権が少しずれているのは、「最高の自分たちが最高の政権を担っている」というおごりと勘違いだ。自民党議員が言う。「慶応病院は1週間の入院が必要としたが首相・安倍晋三が断ったようだ」。党税調会長・甘利明が言うように「(首相は)責任感が強いから、自分が休むことが罪だという意識まで持っている」という“世論誘導”がその勘違いの入り口だ。甘利は17日に首相秘書官とのやりとりをツイッターに載せ「何で次から次へと日程を入れて総理を休ませないんだ! 疲れ切っているのに!」と問うた。秘書官からの返答は「いくら言っても聞かないんです。本人が休もうとしないんです。先生からも説得して下さい!」だったという。

★極め付きは17日夜、副総理兼財務相麻生太郎が記者に向かって「あなた(首相のように)140日間、ずっと休まずに働いたことないんだろうね。140日も働いたことのない人に、働いた人のことを言っても無理なんだろうけど」と発言。「休む必要があるということは申し上げた。ちゃんと自分で健康管理するのも、仕事の1つだ」とも話した。麻生自身、首相時代は毎晩興奮して飲まずにはいられず「クールダウンしないと寝られない」と発言しているが、自己管理は人それぞれだ。

★問題は147日間、休まずに働いたことだというが、そうだろうか。国会から逃げてばかりの首相を、見えないところで仕事に忙殺されているような演出などせずに、体調が悪いならその職を辞して、元気で自己コントロールもでき、休みもうまく取れる、社会に適応した人材に差し替えるべきと誰も進言しないことだ。官房長官菅義偉が出てくる前に、側近2人がいろいろと誘導することこそが、「演出」と言わずしてなんと言えばいいのか。首相が憎いわけではない。ゆっくりと休めばいいのに、その座にしがみついているようで、滑稽に見える。政権の末期を堂々と終わらせるのも、休まずに働く首相の仕事だ。(K)※敬称略