(地獄耳) 責任者不在、まるで政権末期のでたらめぶり - 日刊スポーツ(2020年7月24日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202007240000035.html

都知事小池百合子がコロナ禍拡大で都民に「不要不急の外出をやめてほしい」と言ったその日に銀座のステーキ店に首相・安倍晋三自民党幹事長・二階俊博、同党幹事長代理・林幹雄、同党事務総長・元宿仁、プロ野球ソフトバンク球団会長・王貞治、俳優・杉良太郎、政治評論家・森田実、洋画家・絹谷幸二と会食した。政府はやりたいことはやりますということを実践した。国民の規範となる定見を持たない政治家たちの行動に眉をひそめたところで、経済と感染対策の両立という名の経済優先戦略一辺倒の政権に何を言っても無駄ということか。

★だが1兆4000億もの税金が投入されたGo To キャンペーンのでたらめぶりは政権末期の様相だ。8月上旬からスタート予定のこのでたらめ企画をなぜ前倒しにしたのか。この4連休を企画のスタートダッシュにしたかったのだろう。だがコロナ禍は4月をほうふつとさせる猛威を振るい始めている中、野党、自民党、官庁などありとあらゆる機関と国民から「このタイミングではないのではないか」と問われたものの強引に予定通りに進めた。

★ところが企画内容は固まっておらず、見切り発車するさまはお粗末の限りだ。国交省観光庁は身勝手な要求を突きつける政治家や政府中枢のわがままに翻弄(ほんろう)されたことだろう。ただ、ダメなものはダメと官僚や政治家が止められなかったことに政権中枢の裸の王様ぶりを感じる。一体だれがどうしてこのキャンペーンを前倒しして強引に進めたか。政治は結果責任。感染拡大の中、立ち止まり引き返すチャンスは山ほどあった。ところが国交相赤羽一嘉も当事者とは思えない迷走ぶりだ。結局、政府のどこの誰の責任なのかすらわからないまま、税金の蛇口だけは止まらずじゃぶじゃぶと吐き出される。税金の無駄遣いに責任者がおらず、誰も責任も取らないのならば確かに政権末期と言ってもいいだろう。公明党を含め政府与党は国民が許していると思わない方がいい。(K)※敬称略