(政界地獄耳) 守護神黒川不在のつじつま合わせ - 日刊スポーツ(2020年6月25日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202006250000100.html

★河井夫妻選挙違反事件は週刊誌で事件発覚以来、広島地検により相当慎重な捜査が続けられてきた。その間、政府与党も関与できないとはいえ、善後策を練ってきたものと誰もが思っていたが、検事総長に就任させようとしていた東京高検検事長・黒川弘務も辞任し、もくろみが外れたのだろうか。官邸も自民党も妙な言い訳を連発するようになってきた。これでは黒川が政権の守護神だったことを政権自体が認めているようなものだ。

★17日の会見で自民党幹事長・二階俊博は、1億5000万円を前法相で衆院議員・河井克行容疑者と妻の参院議員・案里容疑者が支部長を務める政党支部に「党内で定めた支給基準の手続きに従って交付した」とし、党勢拡大のための広報紙を複数回、全県に配布した費用に充てられたと説明。このうち税金などで賄われる政党交付金の部分は「党本部では公認会計士が厳格な基準に照らして各支部の支出をチェックしている」としていた。

★ところが23日の会見で二階は1億5000万円について、夫妻側が受領したことまでは把握していると説明したが、記者から「関係書類が検察当局に押収される中でどうやって党支部の支出を確認したのか」を問われ「党として支出した先がどうなったか細かく追及しておらず、承知していない」と述べ、さらっと17日の会見を翻し始めた。「広報紙を複数回、全県に配布した」という説明が怪しくなってきたのか、そういう報告を受けていたものの、事実ではないのか、はっきりしない。

★この二階の一連の会見に呼応しているのか、18日の会見で首相・安倍晋三は二階の説明を引きながら「党本部で事後的に各支部の支出をチェックしている」と説明したので、政府与党の見解は18日までは「広報紙の作成」でよかったのだろうが、19日の官房長官菅義偉の会見では「党として対応する」と自民党一元化する発言になった。つまり18日まではそれでつじつまを合わせていたが、その説明が成立しなくなった可能性が高く、検察の捜査がそこもつまびらかにしているのかもしれない。ああ黒川が懐かしや。(K)※敬称略