[大弦小弦]安倍首相の「責任」 - 沖縄タイムス(2020年6月25日)

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/590526

「最終的な『責任』は内閣総理大臣の私にある」。国会会議録検索システムで、安倍晋三首相が国会で発言した「責任」を検索してみた

▼第2次安倍政権が発足した2012年12月26日から今国会が閉会した17日までに、該当会議録521件2083カ所でヒットした。重い言葉のはずだが、空虚に聞こえてしまうのはなぜか?
▼政権発足以降、閣僚の辞任は10人に上る。辞任のたびに陳謝したが、具体的な行動に移したことはない。モリカケ問題や桜を見る会検察庁人事、コロナ対策の迷走、政治とカネを巡る問題など、国民が納得する説明はいまだ果たされていないからだ
▼長期政権のおごりや緩みの弊害、隠蔽(いんぺい)体質から出る責任回避の数々…。報道各社の直近の世論調査によると、安倍政権の支持率は3割台に下落している
共同通信社世論調査では、河井克行前法相と妻の案里参院議員の逮捕について、党総裁でもある安倍首相に「大いに責任がある」「ある程度責任がある」の合計が75・9%に上った。自民党幹部からは、遠くない時期の衆院解散を示唆する発言が相次ぐ
▼「政治家も責任を取らない結果、政府は無責任体制に陥り、国家運営の著しい停滞を招いた」。12年10月31日の衆院本会議で、当時の民主党政権を批判した安倍首相の言葉だ。今、ブーメランのように返っている。(吉川毅)