休業要請 公平な補償で店を守れ - 東京新聞(2020年4月11日)

https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2020041102000192.html
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新型コロナウイルス感染拡大に伴う休業要請について、国と東京都が合意した。都は独自補償を含む要請を発表したが、休業は全国の商業施設の存続をかけた問題だ。国主導の補償を強く求めたい。
国と都は休業要請の対象などをめぐり意見が対立していた。感染者数が激増する都の危機感は強く、対象を可能な限り広げ素早く行いたいとの姿勢は理解できる。
ただここで問題となるのは休業や営業短縮した店など各施設の経営だ。売り上げが激減している中での対策実施となり、とりわけ小規模店舗は感染終息前に資金が持たず廃業という最悪の事態を招きかねない。
多くの店舗が、開店時などに融資を受けている上に家賃も払っているはずだ。税などの納付猶予があっても、固定費の支払いだけで資金繰りは短期間で悪化する。アルバイトの解雇など人件費にまで手を付けても、休業が長引けば小さな店を中心に危機は急速に迫ってくる。
都は協力金の名目で休業により失った収入の一部を補償する対策を打ち出した。ただ、これは税収が多い富裕団体である都だから可能な対策だ。都の補償策は各自治体の財政状況を考慮すればあまり参考にならないだろう。
ほとんどの商業施設が都内だけのビジネス関係では成立しない。幅広く取引しており休業すれば影響は各地に及ぶ。都の補償策は原則賛成だが、都以外には恩恵はなく不公平が生じかねない。
全国知事会は「休業要請と補償をセットで」と求めている。ただ政府は訴えに後ろ向きであり、この姿勢は理解に苦しむ。
政府の姿勢の背景には財源問題が横たわる。だが今は百年に一度あるかないかの非常時だろう。本年度予算の中には急を要しない項目は間違いなくある。
予算を精査し最も必要な課題に回すのも財務省の仕事のはずだ。予算組み替えも辞さない大胆で柔軟な姿勢を期待したい。
緊急事態宣言の対象以外でも愛知県は独自宣言を行った。危機感は急激に全国で広がっており、休業要請は喫緊の課題としてのしかかってくるだろう。
感染症が続く中での経済対策は時間との闘いでもある。今のままでは、終息後、商店街の景色が一変する恐れも否定できない。
国全体をカバーする公平な補償策を重ねて求めたい。その上で補償の実施については各自治体が判断すべきではないか。