都の休業要請 混乱を教訓に連携密に - 朝日新聞(2020年4月11日)

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新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言から3日。最も感染者数の多い東京都の対応策がまとまり、ようやく公表された。
いったい何をしているのか。この間、戸惑い、あきれ、失望した人が多いのではないか。国と都の間で、特別措置法の解釈や、感染拡大を防ぐために休業を要請する時期、対象とする業種・業態などをめぐって見解の違いがあり、その調整に手間取ったという。
自分の仕事は、生活はどうなるのか。行政から何らかの支援はあるのか、ないのか。中小の自営業者をはじめ、中ぶらりんの状態におかれた人々の間に不安と混乱が広がった。
法律が改正され、緊急事態宣言が可能になったのは先月半ばだ。経験のない状況に直面し、課題が山積していたとはいえ、失態と言わざるを得ない。
そもそも基本的な考え方からして違った。国は、外出自粛要請の効果を見極めたうえで、休業要請などに進むかを判断すべきだという立場をとった。かたや都は、事態は切迫しており、最初から踏み込んだ措置をとる必要があるとした。この認識のギャップが、休業を要請する業種や施設の面積、飲食店での酒類の取り扱いなどの細部にも影響して、紛糾した。
国は経済活動全体に及ぼす影響などを懸念したのだろうが、十分な説明がないままの「2段階論」は説得力を欠き、多くの理解を得られるものではなかった。一方で都の当初案も、幅広に網をかけ過ぎた感があった。
今回の混迷を教訓に、専門家の意見を聴きながら、実効性をもち、かつ自由と権利への制限が必要最小限となる対策をとるよう、関係者の間で十分な意思疎通を図らねばならない。
きのうの小池百合子知事の会見で注目すべきは、国の施策に上乗せする形で、休業に応じた事業者に感染拡大防止への「協力金」として、規模に応じて50万円か100万円を支払うと表明したことだ。手続きなどの詳細を至急詰め、当座の生活を維持し、将来の事業再開につながる手当てを講じる必要がある。
全国の自治体からは、財政力のある都だからできるとの声も聞かれる。お金がないから休業を要請できず、結果として感染が広がり、市民の生命・健康が脅かされるとなったら、本末転倒も甚だしい。
緊急事態宣言の対象になっていない道府県でも、程度の差はあれ緊迫した局面が続く。ひとつの地域で状況が好転すれば、それで収束という話ではない。現場を抱える各自治体と連携を密にとり、それぞれの取り組みや工夫を全力で支えることが、国が果たすべき最大の務めだ。