(政界地獄耳) コロナ対策がバラマキに化ける浅知恵 - 日刊スポーツ(2020年3月28日)

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★26日夜、主要20カ国・地域(G20)はテレビ電話会議を開き、新型コロナウイルス対策で、5兆ドル(約525兆円)を投入するとの声明を発表した。世界恐慌を免れようと、各国は必死に足並みをそろえ協力し合う。ところが国内政策になると自民党新型コロナウイルス対策はどうして和牛商品券だの魚介類商品券、旅行券、高速道路の無料化などゆがんだバラマキに化けてしまうのか。

★本来、コロナ対策費は国民の中にある今そこにある危機を乗り越えるための施策であるべき。収入が激減することで税金が払えない、家賃や携帯代金が払えないといった固定費の支払いへの不安だ。どうも上級国民には、庶民の危機感が伝わらないようだ。自民党のプランはコロナ終息後の消費喚起のプラン。といっても貯蓄に回すものを吐き出さそうとさせる気持ちもわかるが、この不確実性の時代に貯蓄せずに、消費に回せと国民に訴えるにも不安はぬぐえないし、それを和牛や魚介、旅行や高速無料というプランで乗り切ろうというのも浅知恵としか言いようがない。

自民党税調では家計や企業に対する税制上の支援策として法人税などの納税を猶予する措置の拡充や、住宅ローン減税の優遇策の適用要件緩和について協議されているようだが、今、危機感を持つ企業や国民は現金支給であっても、ほとんどが固定費に回ってしまうのではないか。それならば、自治体へ税収分の肩代わりや補填(ほてん)を政府が行い、個人が固定費に回す分の負担を軽くすることで、現金支給の使い道の自由度を高めたらどうか。すぐ使わせたい期限付きのクーポンは今の政策ではない。もっとSOSの声を聴いてほしい。(K)※敬称略