(政界地獄耳) 政治的経済的な米中のコロナ起源説 - 日刊スポーツ(2020年3月16日)

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★米中の新型コロナウイルス起源説は極めて政治的、経済的にエスカレートしてきた。双方とも決定的な情報はまだ公開していないものの、大統領選挙を抱える国家非常事態宣言を出した米国と国家主席習近平武漢入りで峠を越した中国とでは立場が2カ月前とは違う。世界は武漢から始まった新型コロナウイルスとしているが中国の言い分は違う。

★中国外務省の報道官は13日「国際社会において新型肺炎の発生源については多様な意見が出ている」と指摘。同省副報道局長・趙立堅は12日には「武漢市にウイルスを持ち込んだのは米軍かもしれない」と発言。14日には米国で「いつ感染が始まったのか、何人が感染したのか、病院名は、透明性を データの公開を」と英語と中国語のツイッターで訴えた。中国政府は昨夏に閉鎖された米メリーランド州の米軍施設でウイルスに感染した米軍兵士、数百人が昨年10月、武漢市で開催された軍のスポーツ選手の国際競技大会に参加していたことに因果関係があると示唆している。中国の感染症専門家も2月27日段階で「最初に中国内で判明したもののウイルスの出どころは中国でない可能性がある」と発言している。

★この中国の強い反撃には米国内でコロナウイルス発生源として「中国は謝罪すべき」という声が後を絶たないことから端を発している。そして世界経済減速の犯人捜しという役割と経済立て直しの立役者は誰かという救世主探しに両国が関与したいためとみられる。ただ両国とも何らかの情報を隠蔽(いんぺい)しながら心理戦を仕掛けていて、終結に向かいつつある中国に比べて、これから感染拡大が予測されている米国は分が悪い。15日にはデービッド・スティルウェル米国務次官補が中国の崔天凱駐米大使を国務省に呼び、報道官の挑発に苦言を呈したが、両国は既にコロナウイルス終結後を見据えている。(K)※敬称略