学校の性被害 再発防止へ処分厳しく - 北海道新聞(2020年1月27日)

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/386965
http://archive.today/2020.01.27-014535/https://www.hokkaido-np.co.jp/article/386965

教員のわいせつ行為は、児童生徒の信頼を裏切り、心身を深く傷つける。厳しい処分が当然だ。
2018年度にわいせつ行為やセクハラで懲戒処分や訓告を受けた公立学校の教職員が282人に上った。10年前から約1・7倍に増え、過去最悪の水準である。
このうち懲戒免職処分は163人を数えた。文部科学省の通知に従い、児童生徒相手のわいせつ行為を免職とする自治体が増えたことも影響していよう。
教員の子どもに対する影響力を悪用したわいせつ行為は、卑劣極まりない。被害を防ぐため、手だてを尽くしてもらいたい。
処分者は高校の教職員が101人で、中学校、小学校と続く。内容は「体に触る」が最多で、「盗撮・のぞき」「性交」が続いた。
被害者には教職員など大人も含むが、3分の2が18歳未満だ。
とりわけ、自らの勤務校の児童生徒や卒業生が138人と半数近くを占めたことは深刻である。
被害を自覚できない、あるいは言い出せないケースもあろう。数字は氷山の一角とみるべきだ。
連絡手段として会員制交流サイト(SNS)が一般化したことが一因とされる。適切なルールを探り、対策を講じる必要がある。
わいせつ行為で免職された教員が、3年の免許失効期間後に処分歴を隠して再任用され、事件を繰り返すのを防ぐことも課題だ。
文科省は本年度から、官報に載る懲戒免職者の実名を集め、採用の参考に提供しているが、期間が3年に限られる上、停職処分で済めばこれには含まれない。
処分を厳格にするとともに、被害者保護に配慮しつつ処分時にできるだけ教員の実名を公表することで、再発防止をはかりたい。
千葉市では昨年、教え子7人に性的暴行を加えたとして強制性交罪などに問われた元小学校教員の男が懲役14年の判決を受けた。
忘れ物をした女児らを「指導」と称して空き教室などに呼び出しては、犯行を繰り返していた。
千葉市教委は近く、学校の性暴力に関する第三者委員会を設け、相次ぐ事案を検証するという。
三者委を設けないまでも、二次被害防止に十分留意した上で、事例の背景や兆候、発覚が遅れた理由、事後対応などを検討し、課題を共有することが「スクールセクハラ」撲滅に欠かせない。
児童生徒が被害を自覚し、また周囲が被害に気づいて、声を上げることも必要だ。学校での啓発教育が、子どもの力になるだろう。