(政界地獄耳)「灰色検察」になりかねぬ特捜 - 日刊スポーツ(2020年1月7日)

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ロッキード事件の時、収賄に関わっているものの起訴されなかった議員がいるが、その元は米国側が公開した資料で発覚した。逮捕されたのは元首相・田中角栄と元運輸相・橋本登美三郎。それ以外の複数の議員は名前は公表されたが起訴されなかった。当時それらの起訴を免れた議員を新聞は「灰色高官」と書いた。その意味では現在、自民党は「灰色高官」だらけ。不起訴になったからと言っておとなしかった議員が急に元気に動きだす場合もあるが、ロッキード事件になぞらえれば彼らも「灰色高官」に他ならない。

★IR汚職事件もカジノの地元への誘致や法案を積極的に推進しただけで職務権限がないから犯罪にならないという理屈をかざす者もいるが、それでは就活レイプをしながら「法を犯していない」と胸を張る元TBSワシントン支局長と言い分は変わらない。誘致や法案推進で利害関係者から金品をもらった段階であらぬ腹を疑われると断れぬ想像力のない脇の甘い議員のことを「灰色高官」といっても問題はなかろう。

★国会議員が順法精神を高く持つことは当然ながら「違法ではない」と胸を張るほどのことではない。これはつまらぬ法律論ではない。新法ができる時に群がる利権の恩恵にあずかろうとした薄汚さをまとった議員の問題だ。だが「薄汚いは違法ではない」という「灰色高官」がわんさか出てきても、どこかに巨悪の「大物高官」がいるはずだ。東京地検特捜部がそれを暴けないのならば能力の限界なのか忖度(そんたく)の極みなのか。国会開会は20日。それまでに1つのヤマを越えられるのか。特捜部は「灰色検察」となりかねない。(K)※敬称略