<金口木舌>性暴力とゆがんだ社会構造 - 琉球新報(2019年12月21日)

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フィンランドの女性の首相マリーン氏(34)を「レジ係」と呼んだ上で中傷した閣僚がいる。エストニアのヘルメ内相(70)だ。マリーン氏のかつての仕事を指した発言とみられる

▼「レジ係」という職種までおとしめており看過できない。相手が男性なら同じ言葉を投げつけただろうか。ヘルメ内相は自国の大統領を「感情的に怒る女性」と呼び問題になった
セクシャルハラスメントの責任は加害者だけにとどまらない。女性を取り巻く社会的地位と経済力の低さ、女性への支配を助長する「文化」など、加害の背景に社会構造があるといわれる
▼ジャーナリストの伊藤詩織さんが元TBS記者の山口敬之氏から性暴力を受けたとして被害届を出した。山口氏は不起訴とされた。その後、伊藤さんは損害賠償を求める訴訟を起こし、一審で勝訴した
▼山口氏は合意に基づく性行為と反論したが、東京地裁は「酩酊(めいてい)状態で意識がない伊藤さんに合意がないまま性行為に及んだ」と認定した。放送局で経験を積んだ山口氏に対し、伊藤さんは就職先の紹介を受けようとした側。立場は弱い。東京地裁は山口氏の説明を「信用性に疑念がある」と断じた
▼被害を訴えた伊藤さんは誹(ひ)謗(ぼう)中傷を受けた。中傷を恐れ、泣き寝入りしている人は少なくない。ゆがんだ社会構造に目を向け、性暴力のない社会を築かなければならない。