少年法適用年齢引き下げ議論 18、19歳は現行の家裁送致維持 法務省案 - 毎日新聞(2019年12月3日)

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法制審議会(法相の諮問機関)で議論されている少年法適用年齢(現行は20歳未満)の「18歳未満」への引き下げについて、法務省が、18、19歳は今まで通り家裁に送致する案を検討していることが、関係者への取材で判明した。法務省はこの素案を近く法制審の部会に提示し、適用年齢を引き下げる方向で調整するとみられる。現行制度を一部維持する修正案となる。
成人年齢を18歳以上とする改正民法の2022年4月の施行を見据え、政府は来年の通常国会への少年法改正案の提出を目指している。3年近い法制審の議論は最終局面を迎えている。
適用年齢引き下げを巡っては、成人年齢引き下げを踏まえた肯定的意見がある半面、少年院送致などの手厚い処遇が立ち直りに寄与しているとの現状認識から慎重意見も根強い。部会は適用年齢に関する議論をいったん棚上げし、引き下げた場合に、18、19歳を対象として保護処分に相当する新たな処分を創設することを検討。現在の案は、まず検察官が起訴や起訴猶予などの刑事処分を決めるとしており、家裁のより強い関与を求める声が出ていた。
法務省は、18、19歳が罪を犯した場合には家裁が関与する方向の2案をまとめた。一つは現行制度と同様、18、19歳を原則として全件家裁に送致するもので、まず家裁が処分を決め、検察官送致(逆送)した場合に限り刑事処分の対象となる。もう一つの案は、基本的には家裁送致としつつ、一部の事件は家裁の判断を経ないで検察官が処分するとしている。一部の事件は裁判員裁判対象事件などを想定しているとみられる。
現行制度では、事件を起こした少年は原則として家裁に送致され、家裁調査官が成育歴や環境などを調べる。家裁は事件に至った経緯、立ち直る見込みなども配慮して処分を決める。17年の18、19歳に対する家裁処分は、刑事処分相当と判断する逆送が105人で1・1%。保護観察は29・4%、少年院送致は10・4%で、残りは審判不開始と不処分だった。【村上尊一】