警察の証拠品放置 ずさん管理他にもないか - 琉球新報(2019年11月23日)

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警察による証拠物件の管理の在り方が厳しく問われる事態になった。取扱者が分からない証拠品約40点が宜野湾署で放置されていたのである。
医薬品医療機器法(旧薬事法)、麻薬・向精神薬取締法に違反するとみられる禁止薬物や、実弾とみられる物、銃刀法違反の可能性があるモデルガン、ナイフなどだ。
今年3月に署内の車庫で見つかり、宜野湾署が取扱者や入手経緯などについて内部調査をした。明らかにすることができないまま、廃棄した物もあるという。
証拠物件が、犯罪を立証するための極めて重要な資料であることはいまさら指摘するまでもない。
その取り扱いに当たっては、慎重の上にも慎重を期し、紛失・散逸させたり、壊したりしないよう、厳重に管理する必要がある。
証拠品の一つ一つについて、入手した年月日、内容、事件名、所有者、取扱者などが分かるように、整理しておくのは当然のことだ。
だが、宜野湾署のケースでは、どこで誰がどういう経緯で入手したかが分からなくなっているという。ずさんと言うほかない。
これでは捜査の過程を検証することもできない。事件化すべきだった事案が放置されたまま公訴時効を迎えた可能性もある。
警察庁が3月に示した指針によると、証拠物件を長期保管と短期保管に区別し、長期保管の証拠物件は証拠物件保存簿に登載することとされている。そのような簿冊を備え付けていたのか。それとも何らかの原因で記録を紛失したのだろうか。
担当者が交代する際、証拠物に関する引き継ぎはどうなっていたのか。保管状況の点検は定期的になされていたのか。疑問は尽きない。
記録の不備に加え、問題視しなければならないのは、これらの証拠物が車庫で見つかったことだ。警察関係者なら出入りでき、持ち出すことも可能な状態にあったという。
危険な証拠物などが万一流出すれば新たな犯罪を誘発しかねない。もっと適した保管場所を確保することはできなかったのだろうか。
さらに指摘しなければならないのは県警の対応だ。証拠物の放置を確認したにもかかわらず、現在に至るまで記者会見さえ開いていない。
もとより国民の税金で運営されているのだから、特段の事情がない限り、不祥事を含め、あらゆる情報を公開するのは当たり前だ。臭い物にふたをするような姿勢では国民の信頼は得られない。
警察に求められるのは、証拠物の出所が分からなくなった原因を突き止め、再発防止策を講じることだ。
証拠品が粗雑に扱われていたのは果たして宜野湾署だけなのか。県警本部各課、各警察署では適切に保管されているのか。この際、徹底して調べることが不可欠だ。