辺野古の検討会 建設ありきでは困る - 東京新聞(2019年9月11日)

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沖縄県辺野古新基地工事を巡り、防衛省有識者会議を設置した。埋め立て海域に広がる軟弱地盤改良などについて助言する。建設ありきの路線にお墨付きを与えるだけにならぬよう望みたい。
設置された「技術検討会」は地盤工学や港湾技術に関する八人の専門家で構成する。委員長の清宮理・早稲田大理工学術院名誉教授が旧運輸省港湾技術研究所の室長だったのをはじめ八人中四人が、防衛省国土交通省の関係機関に所属するかそのOBだ。
この人選で、客観的な検討ができるのだろうか。
軟弱地盤は辺野古崎東側の埋め立て海域百十二ヘクタールのうち七十三ヘクタールに広がり、深さは最大で海面下九十メートルに及ぶ。防衛省は三年八カ月かけ海底に七万七千本の砂のくいを打ち、地盤固めする方針だ。
しかし、世界的に深さ九十メートルまでの工事実績はなく、防衛省は七十メートルまでの改良で基地建設は可能と結論づけた。九十メートル地点ではなく、数百メートル離れた別地点でのボーリング調査で得た地盤強度データから推定したというのだ。
先の通常国会で野党が本当に施工できるのかと追及したのは当然だ。しかし、六日の検討会の初会合では、地盤データの評価も含め工事の基本線に異論はなかった。
新基地の耐震性能については、東日本大震災級の大規模地震を想定していないことが本紙の取材で分かった。沖縄本島南東沖での海溝型地震を想定した沖縄県の震度予想は、辺野古周辺で最大6弱なのに新基地計画では4程度しか見込んでいない。防衛省は、米側と調整した結果で耐震性能を見直す考えはないとするが、危険な弾薬や燃料を置く基地が大地震に備えないなど許されるはずがない。
これも委員は見過ごすことになるのか。地盤改良を含む全体工費も検討の対象外という。
防衛省は、地盤改良のため年内にも工事の計画変更を県に申請する構え。民意無視の建設に反対している県との折衝に備え、事業の正当性を訴えるために検討会を利用しようというのなら県側の不信感は一層増すに違いない。
検討会の運営要綱は、新基地の設計、施工を合理的に進めるべく「技術的・専門的見地から客観的に提言・助言を行う」と定める。
委員はその通りに問題点を徹底検討し、妥当な事業なのか客観的な判断材料を国民に示さねばならない。現在非公開となっている会合は将来、議論の過程を検証可能とするよう完全公開とすべきだ。