<金口木舌>「議員から前線へ」では済まない - 琉球新報(2019年9月4日)

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「まず、総理から前線へ。」は1982年に話題になった糸井重里さんの名コピーとして知られる。30年余を経て、糸井さんは後悔の念を抱く。「戦争に対する考えが深まっていないですよ」というのである

▼2015年、毎日新聞のインタビューで「単純に戦争になった時に総理が前線に行けばすむっていう話じゃないんじゃないって思う」と答えている。名コピーライターの後悔の言葉は胸に響く
韓国議員団の竹島上陸を受け、丸山穂高衆院議員が「戦争で取り返すしかないんじゃないですか?」とツイッターに投稿した。騒動となった北方領土に続く二度目の「戦争発言」。懲りていないのである
▼「まず、議員から前線へ」と言ったところで当人には響くまい。所属する「NHKから国民を守る党」は容認の構え。「問題提起の範疇(はんちゅう)」なのだという
▼政治家と同様、メディアも反韓国をあおる。「週刊ポスト」最新号が「厄介な隣人にサヨウナラ 韓国なんて要らない」と題した特集を組んだ。テレビ番組に出演するコメンテーターの韓国批判も度が過ぎるものがある。もっと冷静になってほしい
▼差別と不信の連鎖は悲劇を生む。1923年9月の関東大震災で起きた朝鮮人虐殺がその一例である。96年前の悲劇に学ぶときではないか。N国党のキャッチコピーを引くまでもなく、このままでは日本がぶっ壊れる。