(政界地獄耳) 政府与党を野放しにしてはいけない - 日刊スポーツ(2019年9月2日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201909020000129.html
http://archive.today/2019.09.02-000429/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201909020000129.html

★国会は来月4日召集予定。あと1カ月、国会議員は本来の議会の仕事をしないことになる。むろん国会には閉会中審査という方法もあるが、与野党ともに今のところその機運はない。それどころか来月開会に誰も苦言を呈さない。ところが世の中はいろいろな問題であふれている。それを国会で議論せず、政府与党にだけ任せておいてもろくなことはない。なぜならば政府与党が火種の場合も多いからだ。

★議員とテレビのコメンテーターたちがあおる嫌韓はこの国の本質を表す。他国の内政スキャンダルを大きく取り上げるが、最近では参院選の最中すらニュースに取り上げないメディアは、政治に関わるとろくなことはないと国民に示しているのだろうか。ところが政治に関わらないと、政治をやる人たちはとんでもないことを平然とやり始める。それも誰にも何も言われずに。

★辞任した厚生労働政務官上野宏史外国人労働者在留資格を巡る口利き疑惑があると報じられたが、官房長官菅義偉は政府として調査を行わない考えを示し「法治国家なのでそこで対応されるだろうと思う」と述べた。また「在留資格に関する審査は法令に基づいて適切に行われている」と、これでは何事もなかったかのようだ。長官は検察が動くことを示唆したが、うやむやになりそうだ。

★一方、米軍普天間飛行場所属のCH53E大型輸送ヘリから窓が落下する事故を起こしていたことが8月29日に発覚したが、事故は27日に発生していた。日米両政府は米軍機の落下物事故は県や関係自治体に迅速に通報すると合意している。今回の事故に関して地元の宜野湾市長・松川正則は飛行訓練の自粛を訴えるが、防衛相・岩屋毅は「被害が確認されていないので米軍には求めない」としている。犠牲が出なければいいという判断はいったいどこから来るのか。政府与党の自由にさせておくと、なんでも野放しになる。国会議員は政治家としての仕事をすべし。(K)※敬称略