<金口木舌>コロンバインから20年 - 琉球新報(2019年8月2日)

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米西部カリフォルニア州のイベント会場で銃撃事件があった。6歳の男児を含む少なくとも3人が死亡した。毎年10万人以上が参加するフードフェスティバルの最終日だった

▼1999年に米コロンバイン高校で13人が殺害された銃乱射事件から20年がたった。4月に同高校近くで開かれた追悼集会で、被害者の母親は「あの子が今でも帰宅するような気持ちを抱きながら20年が過ぎた」と振り返った。繰り返される銃犯罪に被害者は胸を痛めている
▼しかし米国の銃規制を巡る議論は低調だ。事件を題材にしたマイケル・ムーア監督の映画「ボウリング・フォー・コロンバイン」は、犠牲者の父親らの銃規制を求める声だけでなく、規制反対派の意見も紹介している
▼隣国カナダも銃社会だが、米国のような乱射事件は起こっていないという。白人たちは、虐げてきた黒人の「復讐(ふくしゅう)」を恐れ、銃で身を守っているというのがムーア監督の持論のようだ
▼事件後、容疑者らが好んでいたとしてやり玉に挙がった歌手マリリン・マンソンも映画に登場する。ムーア監督から、容疑者たちが目の前にいたとしたらどう関わりたいかを問われ「何も言わず黙って彼らの話を聞く。誰もそれをしなかった」と答えている
▼悲劇をなくすには銃の規制が不可欠だ。対話を通して、多様な人々が認め合う社会をつくらなければならない。