シリア内戦 子どもの犠牲胸に刻め - 東京新聞(2019年7月31日)

https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019073102000166.html
https://megalodon.jp/2019-0731-0940-44/https://www.tokyo-np.co.jp:443/article/column/editorial/CK2019073102000166.html

f:id:kodomo-hou21:20190731101253j:plain

内戦が続くシリアで、がれきに埋もれた五歳の女児が七カ月の妹を救出しようと、シャツをつかむ写真が世界に衝撃を与えている。女児は亡くなったという。痛ましい戦争をいつまで続けるのか。
現場は、アサド政権軍と後ろ盾のロシア軍が、反体制派の最後の拠点として激しい攻撃を続けているシリア北部イドリブ県。
写真=反体制派メディア「SY24」提供・共同=では、姉妹ら(中央)に向かい、父親(左上)が叫んでいる。現地のジャーナリストが撮影、インターネットで拡散した。ささやかな抵抗が、市民を犠牲にする内戦の悲惨に、再び世の耳目を向けさせた。
シリア内戦は八年前に始まり、政権軍、ロシア軍と、反体制側を支援する米欧、さらに過激派組織「イスラム国」(IS)が入り乱れて戦闘は拡大。シリアでのこれまでの死者は約五十二万人、難民約五百六十万人、国内避難民は推定約六百二十万人に上るという。「今世紀最悪の人道危機」と呼ばれる。
二〇一七年、ISは事実上壊滅し、トランプ米大統領は一八年十二月、シリアからの米軍完全撤収を決定した。米国の関心はイラン封じ込めへと移りつつある。
シリアでは政権、ロシアに加え、シリア政権を支持するイランが部分停戦や和平協議を主導。反体制派を支援するが米国への反発からロシアに接近するトルコも、協議に加わるようになった。
しかし昨年、主要な反体制勢力は反発して会議を欠席。国連安全保障理事会は各勢力に三十日間の停戦を呼び掛けたが戦闘はやまず、和平への糸口は見えない。
反体制派への攻撃は激化する一方だ。市民の犠牲が目立つ。無差別攻撃は許されない。
一五年九月、欧州を目指す途中でボートが転覆し、海岸に打ち上げられたシリア人男児の写真が、難民救済の国際的機運を高めた。今回の女児の写真も内戦終結の緊急性を強く訴えている。
来月、ロシア、トルコ、イランによる協議が開かれる。仏独参加の会議も計画されている。何よりも、人道を第一に考えてほしい。