(地獄耳) 郵政Gの詐欺的行為が選挙争点にならぬ理由 - 日刊スポーツ(2019年7月11日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201907110000186.html
http://archive.today/2019.07.11-005251/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201907110000186.html

参院選挙の最中に発覚したかんぽ生命と日本郵政の不適切販売問題。10日、かんぽ生命保険日本郵便は会見し、かんぽ生命社長・植平光彦は「契約の乗り換えに対し多数のお客様に不利益を生じさせたこと、その結果、保険募集に関しお客様の信頼を損ねた点に関して深くおわびを申し上げます」と謝罪した。

★ここまでやれば不適切販売というより詐欺的行為といえよう。年賀状販売ノルマとはわけが違う。高齢者を相手に証券会社や銀行でもリスクと手数料ばかり高い金融商品の押し売り販売が横行しているようだ。最近でもスルガ銀行の不正貸付や、レオパレス21の施工不備は建設したおよそ3万9000棟の半数を超える2万棟にも及ぶことがわかった。アパート経営で老後の生活に備えようという計画に付け込んだといえる。今回の日本郵政グループの詐欺的行為は郵便局というブランドが年配の人たちに格段の信用を与えてきた事も無視できない。

小泉内閣郵政民営化を推進した当時の総務相竹中平蔵の手により自民党をぶっ壊す勢いで断行して12年が過ぎた。その結果がこれだ。総務省が管理する特殊会社でもある日本郵政グループに対して年金2000万円問題の延長線上の問題と考える国民は多いはずだ。だが、参院選の争点には浮上しない。この選挙、特定郵便局長会は自民党支援のために走り回り、野党陣営にはJP労組が腰を据える。まして組織内候補も抱えるとなると、選挙活動が忙しくて争点にはならないし、どの党も扱いたがらないだろう。しかしそれもおかしな話だ。有権者が被害にあっているのに労使ともにそれどころではないと無視するのか。与野党ともにそんなしがらみの中でこの謝罪会見が行われたことを記憶にとどめていただきたい。(K)※敬称略