浦西中に米軍落下物 「普天間」は早急に閉鎖を - 琉球新報(2019年6月6日)

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最も安全でなければならない学校に、またしても米軍ヘリの部品が落下した。今度は浦添市の浦西中学校だ。2017年にも米軍は宜野湾市普天間第二小学校で落下物事案を引き起こしている。これ以上、看過できない。危険な米軍普天間飛行場は早急に閉鎖すべきだ。
海兵隊は浦西中で発生した落下物について普天間飛行場所属のCH53Eヘリコプターのプロペラ部品であることを5日認めた。
浦西中では4日午後3時半ごろ、校庭のテニスコートに生徒二十数人と野球部員がいた。部活動をしていた生徒は「校庭の上空からひらひらと何かが落ちてきた」と話している。地面に落ちた後に上空を見ると、学校から南に向けて飛行するヘリを目撃した。落下物は縦18センチ、横12センチ、重さ約20グラムの部品だが、部活動中の生徒の足元に落ちている。
プロペラの運航性能を維持する部品のようだが、米軍の整備態勢はどうなっているのか。おざなりのチェックで運用している可能性がある。原因がはっきりするまでヘリの飛行を中止するよう米軍に対し強く求めたい。
普天間第二小学校で17年に発生した落下物事案では、米軍ヘリの窓が小学校の運動場に落ちた。当時、約60人の児童が運動場にいて、落下地点と児童との距離は約10メートルしか離れていなかった。しかも落下の衝撃で飛んだとみられる石が男児の左腕に当たった。
問題なのは、同じく17年に宜野湾市の緑ヶ丘保育園で発生した事案である。円筒状の部品が衝撃音とともに保育園の屋根に落ちているのが見つかった。米軍ヘリの部品であることは認めたものの、飛行したヘリから落ちた可能性は低いと関与を否定し、解明をうやむやにしたままである。
民間と違い米軍が絡む事故は機密のベールに包まれ、責任の帰属や発生原因すら特定できない。
緑ヶ丘保育園の落下物で徹底した究明を怠り、頰かむりを続けていることが綱紀の緩みを助長していないか。厳しく検証すべきだ。
浦西中を含め県内の児童生徒は、他県にない危険にさらされながら学校生活を送っている。米軍基地があるためだ。
教育を受ける静穏な環境が確保されず、幸福追求の権利など憲法上の権利がことごとくないがしろにされている。
浦西中は普天間飛行場の南約2キロに位置する。同校の上空は米軍ヘリが日常的に飛行するルートだ。
このままでは、いつか大事故が起きるのではないかという不安は消えない。
事は生命に関わる問題である。被害がないからといって軽視することは許されない。
重大事に至る可能性があったことを念頭に徹底した原因究明が必要だ。
同時に、普天間飛行場の早期閉鎖に向けて議論を開始するよう、日米両政府には強く求めたい。