[米軍ヘリ部品落下]「普天間」の運用見直せ - 沖縄タイムス(2019年6月6日)

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米軍ヘリの部品が落ちてきたのは、部活動中の生徒の足元30センチのところだった。
一瞬、背筋が凍り付いた。小さな物だから、けが人が出なかったからと、胸をなで下ろすことはできない。広がるのは「この次は…」との不安だ。
4日午後、浦添市当山にある浦西中学校のテニスコートに、縦12センチ、横18センチ、重さ20グラムほどのゴム製のものが落下した。
当時、コートには生徒二十数人がいた。「空から何かが落ちてきた」との連絡を受け、学校はすぐさま屋内避難を指示。200~300人が体育館に駆け込んだ。
ヘリを見たとの生徒の目撃情報もあり、沖縄防衛局が米軍に照会したところ、普天間飛行場所属のCH53E大型輸送ヘリの部品だったことが明らかになった。ブレード(羽根の部分)を保護するテープの一部だという。
米軍は落ちたのが軽いテープだったことから「人や物に脅威をもたらすものではない」とし、対象となる航空機を検査し、劣化があれば「取り換える」と説明する。
防衛省関係者も「不具合があったわけではなく、ぺろっとはがれた感じ」と米側の説明を受け入れる。
ただその説明を裏返して言えば劣化を見逃したことになる。航空機の整備や管理に問題があったとすれば別の部品が落ちた可能性もある。
大惨事につながる危険を内包した事故にもかかわらず、日米双方から危機感は伝わらない。

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事故から一夜明けた5日、浦西中学校は屋外での部活動について、当面は教諭を監視役に付け、米軍ヘリが飛行した場合は一時避難する決定をした。
この日、確認されたヘリの飛行は計9回。上空にヘリが現れると教諭の笛が校庭に響き、生徒たちは一斉に建物内に駆けだした。
日に何回も生徒の頭上を米軍機が飛び交い、「何かが落ちてくるかもしれない」と屋外活動が中断される学校が日本中のどこにあるのか。日常的な避難は憲法が保障する「教育を受ける権利」をも侵害する。
事故直後、「ヘリが毎日のように学校の上を飛んでいるので、これからも何か落ちてきそうで怖い」と話した女子生徒の言葉が胸に刺さる。 
最も安全であるべきはずの学校で、不安と恐怖におびえるという日常はあまりに異常だ。

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県内では2017年12月に宜野湾市の緑ヶ丘保育園に米軍ヘリの部品、普天間第二小学校に米軍ヘリの金属製の窓が立て続けに落下した。
事故は相次いでおり、今回はたまたま軽いテープだっただけ。もう一度、窓が落ちたらどうするつもりなのか。人身事故が発生してからでは遅い。
米軍機の飛行に関しては既に日米で合意済みの、学校上空を飛ばないことを徹底すべきである。
普天間の危険性除去が重要というのなら、普天間の使用を減らす運用見直しを早急に進めるべきだ。