(卓上四季) 書いていないが - (2019年5月9日)

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/303238
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論語孟子を読んではみたが、酒を飲むなと書いてない」「酒を飲むなと書いてはないが、酒を飲めとも書いてない」―。兵庫県丹波篠山市に伝わる、「デカンショ節」の有名な替え歌だ。昔の学生はこんな歌を歌いながら酒を飲み、蛮カラを気取ったのだろう。
彼らならどう思うか。兵庫医科大が講義の出欠を確認するため、「顔認証制度」を導入した。かつては学生の名前を呼んだり、出欠カードを出させたりというのが一般的だった。
一方、学生たちは友達に代返を頼んだり、代わりにカードを出してもらったりして、ずる休みを決め込んだ。けれど、顔認証ではそうはいかない。講義ごとにタブレット端末に顔をかざし、本人かどうかチェックする。
昔なら「管理教育だ」と抵抗したかもしれない。学生の本分は勉学とはいえ、何やら世知辛さも感じる。授業に出るも出ないも自分の責任。その結果、単位を取れるか落とすかも自分の責任。そんな「痛い」経験をして、学生は大人になっていくと思うのだが。
ただ、大学時代を振り返って、真面目に授業に出席していれば良かったと後悔している人は少なくなかろう。いずれも、その分野の専門家による講義である。面白くないはずがない。
10連休が終わり、大学の授業も本格化する。将来悔いを残さぬよう、積極的に講義に出てみたらいい。これも、論語孟子には書いていないけれど。2019・5・9