<金口木舌>仲間がいるからこそ - 琉球新報(2019年4月27日)

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SNSなどを通じて自身の病気を公表する著名人が増えている。タレントの堀ちえみさんは舌がんの闘病中に早期の食道がんが見つかり、4月半ばに手術を受けた。手術後、「無事に終わりました」と発信した堀さんのブログに1200件を超えるコメントが寄せられた

▼「ぜったい負けないで」「心身を休めて」「焦らず明日を迎えて」といった励ましの言葉が届き、同じ病気の人は「元気で過ごしてくれていることが支えになる」とつづった。フォロワーからのコメントは、堀さんを勇気づけるのではないか
▼一般に、がんと診断された人は、治療への不安、経済的な負担、仕事への影響などさまざまな苦悩を抱えるだろう。家族や友人の支えも大切だが、同じ病の人と体験を分かち合えたら励みになる
▼県内にはがんの種別ごとにさまざまな患者会があり、治療や身体のケアに関する情報共有や相談会などを催している
NPO乳がん患者の会「ぴんく・ぱんさぁ」の与儀淑恵さんは「治療の痛み、苦しさを互いに経験しているから、多くを語らなくても通じ合える」と言う。回復者の体験談は不安を和らげてくれると説く
▼「ひと山を越える前に、どこに山小屋があり水場があるかが分かると、頂上から先が見えてくる」と会の役目を例える。一緒に登る仲間や山を越えた人の存在は、希望への道しるべになるはずだ。