(政界地獄耳) なり手不足…大川村長の問題提起 - (2019年4月18日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201904180000174.html
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★16日、統一地方選で121町村長選と375町村議選が告示された。町村長選は45・5%にあたる55町村が無投票になった。町村議選でも93町村が無投票当選となった。また「定数割れ」起こしている町村も8町村になった。市長選挙でも立候補者が1人しかおらず無投票当選が決まった市は27市に及び、こちらも3割を超えた。なり手不足は深刻だ。

★しかし、このなり手不足は今に始まったことではない。2000年代に入り、町村議会に問題は広がっていく。高知県大川村は年々人口が減って過疎化が進み全国の離島を除く人口の最も少ない村だ。17年に村長・和田知士は村議会を解散し、村民全体で考えていく町村総会を提案。地方自治法に抵触するため県や国が重い腰を上げた。総務省では有識者会議が組織されたが、地方自治法を柔軟に運用することを提案したにとどまった。自治権のあいまいさの残る玉虫色の解釈論だ。

★今年3月、大川村では議員が兼業できる範囲を明確にする条例を制定。8年ぶりに選挙が行われることになった。この議論では給与を増やせとか廃止された議員年金復活させろなどの待遇面ばかりが議論されてきたが、和田の問題提起は村民の住民意識を掘り起こし目覚めさせたことになる。自分たちの町や村をどうしていくかは住民が決めることという民主主義の当然の行為が、解決とはいかないまでも強いエネルギーになったに他ならない。

★そしてそれは民主主義を守り、維持することの大切さと困難さに住民が気付いたことにつながったといえる。なり手不足は農家の減少と兼業の問題、企業の相次ぐ工場の撤退で労組の出馬が減ったからと説明されるが、自治意識の芽生えこそが統一地方選挙の意義と有権者の地元意識の基礎であることがわかる。連日メディアは「なり手不足、どうする」というが、大川村のSOSが意識を変えた。(K)※敬称略

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